【SDGsで注目】オーガニック食品は体と環境に優しい?

【SDGsで注目】オーガニック食品は体と環境に優しい?

これまで【SDGsで注目!】というテーマで、代替食品や代替食器についてご紹介してきましたが、ついに最終回となります。今回は、17の目標の内の主に2つの項目に関わるテーマを取り上げたいと思います。

SDGs14と15海と陸の豊かさを守ろう

 

みなさんは「オーガニック」という言葉を聞いてどのようにイメージされますか?

「なんとなく体に良さそう!」「環境に優しそう!」と思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

今回は、最近よく耳にするようになり、注目されている「オーガニック」を選ぶメリット・デメリットについてご紹介いたします♪

オーガニック食品のメリット

オーガニックとはどういう意味?

オーガニック(Organic)という英語には様々な意味がありますが、一般的には「有機」という意味で用いられます。

有機とは、化学肥料や農薬などの化学物質に極力頼らずに、自然界の力を大切にした農業や栽培方法、加工方法全般を指す言葉です。そこから生産された食べ物をオーガニック食品あるいは有機食品と呼びます。

 

オーガニックの目的とは?

もともとオーガニックの目的は、水質汚染や土壌汚染、大気汚染から環境を守り、微生物や植物の生態系を崩さない、自然な食物連鎖を目指すことにあります。

化学的な農薬や肥料を使わず、口にするものや体にふれる化粧品などの安全性を担保することで、結果として食の安全性を高めることにもつながり、人間や動植物が健全に過ごしていける地球環境づくりを支えることにつながります

オーガニック野菜

 

日本の基準「JAS規格マーク」とは?

日本では、『オーガニック』と呼ぶためには農林水産省が制定した『有機JAS規格という厳しい基準をクリアする必要があります。農林水産省の認定した登録認証機関に申請し、審査を行い農林水産大臣によって認定を受けます。

JAS規格は、自然界にとって優しいかどうかという点が重要視されている規格です。今後、農業を行っていく上で自然循環機能を維持・増進することが目的で、農薬や遺伝子組み換え技術の使用禁止など、環境への負荷を低減するために持続可能な生産が行えるように基準を定めています。

有機JASマーク

 

オーガニック食品を選ぶメリット&デメリット

★メリット①栄養たっぷりの皮まで食べられる!

最大のメリットは化学的な農薬や肥料を使用しないことによる安心安全です。

農薬はしっかりと洗うことで落とすことはできますが、100%落としきれないという懸念が残ります。オーガニック食品を選ぶことは、化学的な農薬を口にする可能性を限りなくゼロに近づけることにつながります。

そのため、オーガニック食品は安心して皮ごと食べることができ、皮に含まれる栄養素(フィトケミカル)を余すことなく取り入れることができます。

※フィトケミカル

植物が紫外線や有害物質、害虫などから身を守るために作り出した色素や香り、苦み、辛味などの化学物質で、腸内環境を整える作用や動脈硬化を予防する作用、免疫力を高める作用、抗酸化作用など様々な効果が期待できる成分です。

 

★メリット②ゆっくり育つため栄養豊富に!

自然本来の土壌から育てられた野菜などは、自然そのもののエネルギーを吸収しており、大量生産に比べるとゆっくりと自然な成育スピードで大きくなるため、栄養価が高くなりやすいと考えられます。また、オーガニック食品は自然のままに育てられるため、栄養価の高い旬の野菜を食べることにつながります

 

★メリット③生産者の顔がみえる

有機栽培で育てられた野菜は、生産者の情報を紹介しているケースが多くなってきています。どこで、どんな人が、どんな風に栽培したのかが分かることは、安心にもつながります。さらに、地元で作られた野菜などは、他のものよりも新鮮で栄養価が高い状態で口にすることができ地産地消にもつながります。最近では、ファーマーズマーケットや産直販売などで、直接生産者に触れることのできる機会も増えてきています。

 

デメリット①~形や色、見た目が不揃い~

オーガニックで生産された農作物は、形や色、サイズが不揃いになりやすい傾向にあります。消費者は形がきれいでサイズ感が揃った食品を求める傾向が強いことから、流通の規格から外れされてしまうことがあり、味や品質が変わらなくても行き場を失ってしまい廃棄野菜となってしまうという問題もあります。

 

デメリット②価格が高い

農薬を使用したものに比べると価格が高い傾向にあります。これは、自然のリズムで育てるため生産量が一定でなく、また、病虫害を防ぐために手間ひまと莫大なコストが必要となるため、一般的な野菜に比べて値段も高くなります。

 

肥料の過剰使用による影響

肥料の主な目的は、窒素・リン酸・カリウムという植物が大量に必要とする無機物を土の中に補給して作物に吸収させることです。その役割は、有機肥料でも化学肥料であっても同じです。

適切な使用の範囲では安全であると考えられますが、過剰な肥料の使用により、肥料に含まれる窒素が土壌に残留することで地下水や土壌中に溶け込みます。

その結果、微生物などの生態系がアンバランスとなり、作物を育てる土壌の力が減少してしまうだけでなく、その水が川や海に流れ込むことによって、肥料に含まれる窒素がプランクトンの栄養となり、さらに太陽の光をたくさん浴びることでプランクトンの異常増殖が生じ、海の色が赤く変わる「赤潮」という現象が生じます。

そして、異常発生したプランクトンが魚のエラに詰まったり、プランクトンが一斉に呼吸をすることで水中の酸素が少なくなり、魚や貝が酸素不足のため死んでしまうことにもつながります。

農薬と赤潮

東京都環境局ホームページ「赤潮とは?」(外部リンク)
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/
water/tokyo_bay/red_tide/about.html

 

今回は、オーガニックの目的やオーガニック食品を選ぶメリット・デメリットを詳しく紹介しました。特徴を理解し、上手にオーガニックなものを取り入れて体や地球環境にも優しい生活が過ごせたら心地よいですね。

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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