タンパク質は、多数のアミノ酸が結合してできた、身体の20%を占める大切な栄養素です。
皮膚、筋肉、臓器、血液、髪の毛、爪、骨などの構成成分になったり、ホルモンや酵素、神経伝達物質、抗体などの原料になります。
炭水化物が不足した時に、1g当たり4kcalのエネルギーを供給します。
肉類、魚介類、卵、大豆・大豆製品、乳製品などに多く含まれます。
「良質なタンパク質」とは、必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品のことです。
良質なタンパク質の指標となるものが、「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアは、食べ物に含まれるたんぱく質の量と必須アミノ酸がバランスよく含まれているかを数字で表したものです。種類と量がバランスよくすべて含まれていれば100となります。アミノ酸スコアが100の食品は、肉、魚、卵、大豆、乳類などがあります。
<タンパク質の1日の摂取基準量>
日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、18~49歳は、摂取エネルギーの13~20%、50~64歳は14~20%、65歳以上は15~20%が目標量となっています。
また、タンパク質は筋肉の材料となる栄養素であることから、フレイル予防のために、50〜64歳は14〜20%、65歳以上は15〜20%と、他の年齢区分より引き上げられています。
性 別 | 男 性 | 女 性 | ||||
年齢等 | 推定平均必要量(g/日) | 推奨量
(g/日) |
目標量
(%エネルギー) |
推定平均必要量(g/日) | 推奨量
(g/日) |
目標量
(%エネルギー) |
18~29(歳) | 50 | 65 | 13~20 | 40 | 50 | 13~20 |
30~49(歳) | 50 | 65 | 13~20 | 40 | 50 | 13~20 |
50~64(歳) | 50 | 65 | 14~20 | 40 | 50 | 14~20 |
65~74(歳) | 50 | 60 | 15~20 | 40 | 50 | 15~20 |
75 以上(歳) | 50 | 60 | 15~20 | 40 | 50 | 15~20 |
(日本人の食事摂取基準(2020年版))
タンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。このうち9種類は体内で合成することができないので、食べ物から摂取しなければなりません。この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。食べ物の中に必須アミノ酸が1つでも不足していると、タンパク質としての栄養的価値が下がります。
種類 | 働き | 多く含む食品 |
イソロイシン | 成長促進、筋力強化 神経機能や肝機能を高める |
鶏肉、鮭、牛乳、チーズ |
ロイシン | 肝機能を高める、筋力強化 | 牛肉、レバー、ハム、牛乳、チーズ |
リジン | 体組織の修復、代謝の促進 | 魚介類、大豆製品、肉類、牛乳、レバー、卵 |
メチオニン | 抑うつ症状改善 ヒスタミンの血中濃度低下 |
牛肉、羊肉、レバー、牛乳、魚介類、卵 |
フェニルアラニン | 鎮痛作用、抗うつ作用 | 肉類、魚介類、大豆製品、卵、そば、チーズ、種実類 |
トレオニン | 脂肪肝予防、成長促進 | 卵、スキムミルク、ゼラチン |
トリプトファン | 精神安定、鎮痛・催眠効果 | 牛乳、チーズ、大豆製品、レバー、卵、種実類 |
バリン | 血中窒素バランスンの調整整、 肝機能の改善、筋肉強化 |
チーズ、レバー、海藻類 |
ヒスチジン | 成長促進、神経機能のサポート | 鶏肉、魚介類 |
一般に、タンパク質源となる肉類・魚介類・卵・大豆製品・乳製品などにはアミノ酸がバランスよく含まれています。穀類ではリジンが不足していますが、リジンが豊富な動物性食品と一緒に取ることで、栄養価が高まります。
このように、主食・主菜・副菜をそろえて、多様な食品を組み合わせて食べることで、バランスの良い食事をとることができます。
タンパク質の摂取が少なすぎると下記のような症状が起こるおそれがあります。
タンパク質は筋肉の主要な構成要素であり、筋肉の成長と修復に不可欠です。タンパク質が不足すると、筋肉量が減少し、筋力や運動能力が低下する可能性があります。
筋肉はエネルギーの消費が高く、基礎代謝全体の20~25%を筋肉のエネルギー消費が占めるとされています。そのため、タンパク質不足による筋肉量低下は肥満を招きやすくなります。
タンパク質は、免疫細胞や抗体の構成成分であるため、免疫機能の維持に欠かせません。タンパク質不足の場合、免疫機能が低下し、感染症への抵抗力が弱まる可能性があります。
フレイルは加齢に伴い身体の予備能力が低下し、健康障害を起こしやすくなった虚弱した状態のことを指します。タンパク質が不足し低栄養に陥ると、フレイルを進行させ、筋肉量が低下するサルコペニアをも引き起こします。放置すれば転倒などのリスクが上がり寝たきりや要介護となるため、しっかりとタンパク質を摂取し筋肉を維持することが大切です。フレイルについてはこちら
タンパク質を摂り過ぎると下記のような症状が現れるおそれがあります。
タンパク質は、炭水化物や脂質のように体内に蓄えることができないため、取り過ぎた分は尿とともに体外に排せつされます。このため、取り過ぎが続くと、尿をつくっている腎臓に負担をかけてしまいます。
動物性タンパク質や脂質は、悪玉菌のエサとなり腸内環境を悪くするため、便秘や下痢を起こすことがあります。腸活についてはこちら