私たちが普段食べている多くの食材には、薬と同じように体を元気に直す効果があるとされる「薬食同源」というものがあります。
「生薬と食物とはその源が同じ」を意味する古くからある言葉で、薬は病気になってから飲みますが、食事は毎日の生活と共にあるものであり、食事から見直しておくことが健康への一番の近道であるということをいっています。
薬食同源の考え方によれば、薬膳によって病気の予防や虚弱体質の改善を行い、それでも病気になれば、漢方医学によって生薬を処方し病気治療を行ないます。
この考えに沿った食事法というのが「食養生」です。
今回はまず食養生の基本をみていきましょう。
漢方医学では、病気とは言えないけれど、健康とも言えない状態を「未病」といい、未病の治療改善をしていきます。そのために大切なのが、日々の食事です。
食材の特性を知り、その時の自分の体質に合ったものを食事で取ることで、病気になる前に不調を予防・改善することができます。
すべての食材は形も味も違うように、それぞれ独自の働きを持ち、食べた時に体に及ぼす作用も異なります。
食材が体のバランスを整え、血や肉や骨となっていくのです。
食材には体の機能を促して温めたり、機能を抑えて冷やしたりする性質があり、その度合いを五性とよんでいます。
寒性は体を冷やす性質であり、涼性は余分な熱を冷ます性質になります。
興奮を抑える働きもあります。
寒性 | しじみ、かに、きゅうり、なす、ゴーヤなど |
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涼性 | レタス、セロリ、しめじ、そば、緑茶など |
寒性や熱性のない、どちらにも属さない性質になります。
ただし平性の食べ物ばかりではなく、体質に合わせてバランス良く取りましょう。
じゃがいも、キャベツ、しいたけ、いちご、りんご、米、大豆、卵など
熱性は体を強く温める性質であり、温性はやや温める性質です。
全身の活動エネルギー源となる「気」や体中に栄養を届ける「血」を巡らせ、新陳代謝を高めます。
温性 | イワシ、アジ、鮭、ねぎ、カボチャ、クルミなど |
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熱性 | 唐辛子、こしょう、山椒、シナモン、羊肉など |
食材にある5つの味には特有の作用があり、体の働きにも関わっています。
体液を体内で留め、「肝」を養うといわれています。
レモン、梅、酢、いちご、トマトなど
胃腸の働きを助け、痛みや緊張を緩和して「脾」を養います。
米、いも、砂糖、はちみつ、バナナなど
発汗を促し、気や血を巡らせて「肺」を養います。
しょうが、ねぎ、にんにく、こしょうなど
塩辛いという意味で、硬いものを軟らかくしたり便通を良くして「腎」を養います。
昆布、エビ、豚肉など
熱を冷ましたり不要物を排泄させて、血を全身へ巡らせるポンプとなり、精神や意識を安定させる「心」を養います。
緑茶、銀杏、みょうが、ゴーヤなど
食材の「五性」「五味」の働きを、それぞれの体質に合わせてうまく組み合わせていくことが必要です。それぞれの体質や体調の変化に合わせて、どのように食材を活用していけば良いか、次回具体的にご紹介していきます♪