「今日のおかずは焼き鮭にするから、鮭を買ってきて!」と頼まれてスーパーにやってきたアナタ。
鮮魚売り場へ向かい鮭を探すと、お馴染みのピンク色の切り身を発見。カゴに入れようと手にしたパックをふと見ると、貼られたラベルには燦然と輝く「サーモン」の四文字が。
「鮭」と「サーモン」、一見同じように見えますが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか?
「卵」?「玉子」? ~知ってますか、タマゴの事~
でもご紹介しましたが、鮭とサーモンでは生物学からの見方と、料理での見方で違いがあります。
「鮭」はもともと鱒(ます)の一種で、数多くある鱒の種類の中でも大きい魚が「鮭」と呼ばれるようになり、今に至るそうです。
「サーモン」と呼ばれているものは一般的には「トラウトサーモン」を指します。
「トラウト」とは「鱒」の事になりますので、生物学上では鮭もサーモンも同じ鱒、という考え方になります。
ちなみに、「鮭」は川と海両方を行き来する遡河回遊魚(そかかいゆうぎょ)、「サーモン」は河川で生育する淡水魚、という区別もあります。
ただ、鮭や鱒の分類については現在も研究が進められている段階であり、今後も分類などが変わっていく可能性があるそうです。
ではスーパーで売られている「鮭」と「サーモン」にはどのような違いがあるのでしょうか。
最も大きな違いとしては、生食できるかできないかの違いです。
加熱しないと食べられないものが「鮭」、
お寿司やお刺身など生で食べられるものは「サーモン」になります。
生食できるかできないかの違いは、生育環境(天然か養殖か)にあります。
つまり、鮭は天然もの、サーモンは養殖もの、という分け方になります。
スーパーで買った鮭を食べたらアニサキスによる食中毒が……というニュースを見たことがあるでしょうか。
鮭は天然ものを捕まえて加工していますが、鮭が餌にしているプランクトンは、まれにアニサキスという寄生虫を食べてしまうことがあり、それが鮭にも寄生することがあります。これを人が食べる事により、食中毒の原因になるのです。
アニサキスは60℃以上で1分以上加熱すれば死滅します。そのため鮭は生ではなく、きちんと加熱してから食べなければいけません。
ちなみに、鮭の中でも銀鮭や紅鮭といった種類があるのはご存知でしょうか?
銀鮭
主にアメリカやカナダといった海外から輸入されています。
成長のスピードが速いため、養殖も盛んなことから比較的安価なのも魅力です。
コンビニ弁当やおにぎりで使われているのはほとんどが銀鮭だそうですよ。
秋鮭
文字通り、秋にとれる鮭を秋鮭と言います。産卵のため川を遡上してくるので、メスからは筋子がとれます。
脂が少なく身が引き締まっているので、ホイル焼きやムニエルといった調理方法が向いています。
時鮭(ときしらず)
春から初夏にかけて旬になります。産卵期ではないので、卵や白子が無いぶん、脂がたっぷりのっています。
塩焼きで皮ごと食べるのが美味しい食べ方です。
サーモンは、養殖であり、餌も人の手によって加工されたものを与えています。
そのため、アニサキスの寄生はほぼ無いため、刺身のように生でも食べられます。
しかし、生簀で育てている以上、どうしても網をすり抜けたプランクトンを食べてしまう可能性があります。
そこからアニサキスが原因となる食中毒が発生する事もまれにあるのです。
自宅で食べるときはなるべく生食を避けて、加熱するようにしましょう。
鮭同様、サーモンにも種類があるのはご存知でしょうか?
キングサーモン
文字通り、世界最大級のサーモンです。
日本産はほとんどなく、輸入品がメインです。身は脂があり柔らかで、甘味が強めです。ステーキや蒸し焼き、スモークサーモンなど、さまざまな調理法で楽しまれています。
アトランティックサーモン
ほとんどがノルウェー産の養殖になります。
サケ科特有の臭みがほとんど無く、イタリアンやフレンチといった世界中のさまざまな料理で使われています。日本ではお刺身や寿司ネタでよく食べられています。
トラウトサーモン
主にチリで養殖されているトラウトサーモン。区分としては「ニジマス」になります。
アトランティックサーモンより安価な為、手に取る機会が多いのではないでしょうか。
あっさりした味わいなので、シチューやパスタに使うのもオススメです。