しいたけは日本で古くから食用とされ、現在でも生産量の多いきのこです。これを干して乾燥させた干ししいたけは、日持ちしないしいたけを長期間保存できるようにするだけでなく、干すことでより風味が増す食材として日本の食生活になくてはならない存在です。
さらに干すことで生しいたけの約3~30倍ほど栄養価も高まることが科学的にも分かってきました。
生しいたけと干ししいたけでは、旨み成分と香り成分が違ってきます。生しいたけは生なので日持ちしません。それに対して干ししいたけは日持ちもしますが、水で戻す時にコツが必要です。生しいたけは、旨みを引き出すのに、切る、冷凍して加熱するなどの工夫をします。きのこの香りはありますが、しいたけ独特の香りは強くなく、舌触りもなめらかなため、しいたけの素材そのままを味わう焼き物、汁物、和え物に向きます。干ししいたけは冷水で時間をかけて戻し加熱をすると旨味成分のグアニル酸が増え、出汁まで美味しくいただけます。煮汁を材料に煮含めたり、香りを楽しめるため、煮物、蒸し物、炒め物などに向いています。
しいたけは、日持ちがしないため収穫後すぐに乾燥しなくてはいけません。衛生の面で屋外での乾燥が難しく、さらには60度以上の高温で乾燥させると旨味成分のグアニル酸と香り成分のレンチオニンが多く生成されます。
そのため、近年市販で売られているものは天日干しではなく、機械を使用した電気乾燥させているものが多くあります。その為、表記も「干ししいたけ」ではなく、「乾ししいたけ」と書かれているものもあります。2~3時間だけでも太陽光に当てることでビタミンDが増えます。
生しいたけ | 乾ししいたけ | |
水分 | 91.0g | 9.7g |
タンパク質 | 3.0g | 19.3g |
脂質 | 0.4g | 3.7g |
炭水化物 | 4.9g | 63.4g |
食物繊維 | 3.5g | 41.0g |
カリウム | 280mg | 2100mg |
カルシウム | 3mg | 10mg |
リン | 73mg | 310mg |
ビタミンB | 0.10mg | 0.50mg |
ビタミンB2 | 0.19mg | 1.40mg |
ビタミンD | 2µg | 17µg |
ビタミンDを多く取りたい時は、しいたけを30~60分天日乾しにしてから、料理しましょう。自分が日光浴する代わりに、乾ししいたけを日光浴させてビタミンDを作ってもらいましょう。ビタミンDの研究が盛んに行われ、腸内環境との関係から免疫力やうつ病の治療の分野でも注目されてきています。
あらゆる料理に大活躍の乾ししいたけですが、戻すのが手間です。でも十分に戻さないと旨味成分のグアニル酸が出てこないし、水につけっぱなしだと今度はグアニル酸が流れ出してしまう・・・。そこで、今回は色々な乾しいたけの戻し方を紹介します。
冷蔵庫の中で水につけて戻せば常温の8倍のグアニル酸ができます。しかし、戻すのに24時間かかるのが難点です。