調理器具の豆知識、第四弾はテフロン加工のフライパンについてご紹介します。
お料理で使うフライパンについて、多くの方にとって一番なじみ深いのはテフロン加工のフライパンではないでしょうか?
軽くて丈夫、こげつかないので後片付けが便利と、いいことづくめのフライパンですが、お手入れや気を付けないといけない事について、意外と知らない事も多いのではないでしょうか?
普段から使っているものだからこそ、改めて勉強してみましょう。
フッ素樹脂コーティングを施したものをテフロン加工といいます。テフロン加工のフライパンは摩擦がおきにくく、食材やソースといった調味料などがこびりつきにくくなります。
ちなみに、「テフロン」はアメリカのケマーズ社が商標を所有しているので、実はほかの会社が「テフロンフライパン」と称して販売することはできません。
とはいえ、フッ素樹脂加工=テフロン加工なので、基本的に性能に違いはありません。
単体でのフッ素は非常に危険なものですが、テフロン加工などに使われているフッ素樹脂は、フッ素をプラスチックの原料と化学結合したもので、この状態で一度硬化したものは、人体に有害な反応を起こすことも、溶け出したりすることもありません。
ですので、フッ素樹脂加工のコーティングが剥がれてしまっても、健康に影響を及ぼすことはありません。
ただし、フッ素樹脂は350℃を超えると熱分解が始まり、有害なガスが発生します。通常調理をする分には問題ありませんが、空焚きをすると5分ほどで350℃を超えると言われています。熱分解によって発生するガスや飛散した微粒子は、体内に蓄積されないので、人体にはそこまで大きな影響はありませんが、小鳥や犬、猫などといった、身体の小さな生き物には有毒になり、場合によっては死に至る事もあります。
ペットを飼っている方は、調理時の空焚き等には注意するようにしましょう。
これまで紹介した鉄やアルミのフライパンは、お手入れさえしっかりしておけば、ずっと使い続ける事ができるものでしたが、テフロン加工のフライパンは、実は寿命は長くても約3年と短いです。
テフロン加工で使用するフッ素樹脂は、熱や摩耗に弱いため、フライパンを使い続けるとどうしても剥がれてきてしまうのです。
テフロンが剥がれたフライパンは、食材がくっつきやすくなったり、洗う時も汚れが落ちにくくなったりするため、新しいものに買い替える事をおすすめします。
新しくしても、またすぐ買い替える事にならないよう、少しでも長く使うためにも、テフロン加工のフライパンのお手入れや注意事項について見ていきましょう。
もしかしたら、知らないうちにやってはいけないことをしてしまっているかも……?!
テフロン加工のフライパンは、こびりつかないから油なしでも大丈夫!と考えてしまうかもしれませんが、油はしっかり引きましょう。
油を引くことで、コーティングを熱から守る効果があります。
フッ素樹脂は熱に弱いため、火力が強すぎるとコーティングがはがれやすくなってしまいます。テフロン加工のフライパンは熱伝導がいいので、中火で十分。
また、長時間の空焚きも、コーティングがはがれてしまうため、厳禁です。
先のとがった金属でできたヘラやフライ返しなどを使うと、意図せず表面に傷がつき、そこからコーティングが剥がれてきてしまいます。
できるだけ、木製やシリコンでできたツールを使うようにしましょう。
調理後、熱いフライパンを冷ますために水をかけたりしていませんか?
熱いフライパンに水をかけると聞こえる「ジューッ!」という音、あれはフライパンの悲鳴ともいえるものなのです。
表面が傷んでしまう原因になるので、しばらく置いて自然に冷ましてから洗うようにしましょう。
テフロン加工フライパンは、洗剤で洗っても大丈夫ですが、洗うときはスポンジの柔らかい部分で優しく洗いましょう。
強くこすると、コーティングが薄くなってしまい、寿命を早めてしまいます。
フライパンにお湯を入れて沸騰させましょう。
そのあとはお湯を捨てて、中性洗剤で優しく洗います。蓄積された汚れを落とす事でも、テフロンフライパンの寿命を延ばすことができます。
いかがでしたでしょうか。
普段使い慣れた調理器具も、実は知らないことがいろいろとあったのではないでしょうか?何気なく使っている道具の事を調べてみると、新しい発見につながるかもしれませんね。