皆さんはトリプトファンという成分を知っていますか?睡眠を促すホルモンと密接な関係があり、特に日照時間が短い冬に意識的に摂取してほしい成分です。この記事ではトリプトファンの働きや必要な摂取量、多く含まれる食品などについてご紹介します。
トリプトファンは、体内で合成することができない必須アミノ酸の一つです。アミノ酸はタンパク質の構成要素であり、全20種類あります。その中の9種類は体内で合成することができないため、必須アミノ酸と呼ばれ、毎日の食事から摂取する必要があります。
トリプトファンは、体を動かすエネルギーになるほか、神経伝達物質やホルモンの生成にも関わっており、精神を鎮めたり、睡眠の質を高めたりする働きがあります。
トリプトファンが脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともに、セロトニンという神経伝達物質が生成されます。セロトニンは、幸せホルモンとも呼ばれ、興奮や不快感を鎮めて精神を安定させたり、寝つきを良くしたりする働きがあります。そのほか、消化や生殖、体温、呼吸など多くの体の機能とも密接に関係しています。
セロトニンの生成は、太陽の光を浴びることで促進されます。日照時間の短い冬場には不足しやすくなるため、トリプトファンが含まれる食品を積極的に摂ることが大切です。
さらに夜になると、セロトニンを原料に、睡眠ホルモンであるメラトニンが生成されます。メラトニンは、睡眠のサイクルを正常にしたり、免疫力を高めたり、活性酸素を減少させたりするなどの働きがあります。メラトニンの分泌量は年齢を重ねると減少するといわれており、高齢者が長時間の睡眠をとることが難しく、深い眠りにつくことができないのは、メラトニンの減少が原因とも言われていています。
睡眠の大切さについては・・“最高の睡眠”にはメリットがたくさんある

・魚類・魚類加工品:かつお・まぐろ・鮭・さば・あじ・さんま・煮干し・かつお節 等
・肉類(食肉加工品含む)牛肉(特に赤身)、豚肉、鶏肉、ハム・ソーセージ 等
・乳製品:牛乳・チーズ・ヨーグルト
・その他:大豆製品・ナッツ類・ごま・卵・春菊・ほうれん草・食パン・白米・アボカド・バナナ 等

トリプトファンを材料に体内ではナイアシンも合成されます。ナイアシンの合成にはビタミンB2とビタミンB6も必要なので、それらの摂取も心掛ける必要があります。健康効果はたくさんあり、心血管疾患を予防したり、睡眠障害など血流を改善し、アンチエイジング効果もあります。また、アルコールの代謝にも関わり、二日酔いなどを防ぐなどの解毒効果も期待できます。アルコールの基礎知識についてはこちら~アルコールの正しい基礎知識を付けよう!~

トリプトファンの一日必要量は、年齢や体重によって異なります。成人では体重1kgあたりの必要量は4mgで、体重55kgの人は下記の計算となります。
| 年齢(歳) | トリプトファンの必要量(㎎/㎏体重/日) |
| 0.5 | 9.5 |
| 1~2 | 6.4 |
| 3~10 | 4.8 |
| 11~14 | 4.8 |
| 15~17 | 4.5 |
| 18以上 | 4.0 |
※出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
セロトニンの分泌が低下することで、意欲の低下や不安感、うつ状態などさまざまな症状が現れます。また、メラトニンの生成も減少するため、不眠症や睡眠の質の低下にも繋がります。

アミノ酸には副作用がないとされていますが、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)によると、トリプトファン3000mg~6000m g/日を少なくとも短期間摂取(摂取頻度は不明)したことによるヒトへの悪影響として、無気力や吐き気、頭痛などが報告されています。
※出展:内閣府 食品安全委員会
特に、プロテインやサプリメントなどでアミノ酸の過剰摂取を継続した場合、肝臓での代謝量が増増加し、肝機能や腎機能の低下を招く可能性があります。摂取量には気をつけて活用しましょう。量が次第に増えて、肝機能や腎機能の低下が起きる可能性が高まります。プロテインやサプリメントなどでの過剰摂取には注意が必要です。
一度の食事にトリプトファンを多く摂るのではなく、3食の中でこまめに摂ることが大切です。セロトニンを経てメラトニンになるまで14~16時間かかると言われているため、特に朝食で不足しないように注意しましょう。
朝ごはんでよく食べられているパンやご飯、目玉焼き、焼き魚、ハム、ソーセージ、牛乳、ヨーグルト、バナナなどにもトリプトファンが豊富に含まれています。
また、トリプトファンだけなど1種のアミノ酸を大量に摂ると体内のアミノ酸バランスが崩れてしまうため、ほかのアミノ酸もバランスよく摂取しましょう。
朝日を浴びことでもセロトニンの分泌が促されます。朝起きたらカーテンを開け、朝日を浴びながらトリプトファンが含まれた朝食摂取を意識しましょう!

・トリプトファンは日中に脳内で神経伝達物質であるセロトニンに生成され、夜になると睡眠を促すメラトニンという睡眠ホルモンに変換されます。
・冬は日照時間が短く、太陽光を浴びる時間が減ることから、セロトニンの生成が減少するため、トリプトファンを積極的に摂ることが大切です。
・トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、体内での合成ができないため、毎日の食事で意識して摂取することが大切です。セロトニンを経てメラトニンになるまで14~16時間かかると言われているため、朝食に意識して摂取することが大切です。