男性がかかりやすいという痛風。どうすれば予防できるのでしょうか?
血液中の尿酸の濃度が高くなることを「高尿酸血症」といいますが、この尿酸が高い状態が続いて、尿酸が関節に付着し、炎症や発作が起こった状態を「痛風」といいます。
尿酸は細胞の中の核酸を構成する成分であるプリン体が分解されてできる物質です。
尿として排泄されますが、過剰につくられたり、排出がうまくいかなくなったりすると、尿酸が血液中にとどまります。
さらに尿酸が増えると血液の中に溶けきらなくなり、関節などに針のような形の結晶としてたまってしまいます。
その結晶を白血球が異物として認識してしまい、激しい痛みを伴った炎症を引き起こすのです。
関節を突発的で激しい痛みである「痛風発作」が起こり、赤く腫れあがって立ち上がることも歩くこともできなくなるほどの痛みが走ります。
発作はほとんどの場合、足の親指の付け根部分に起こりますが、ほかの指や足首、ひざ、手の指、手首にも起こることがあります。
初期の場合は治療しなくてもだんだんと症状が軽くなり、2週間ほどで痛みはなくなりますが、そのまま治療せずに放置しておくと慢性化し、尿酸がたまってこぶになる「痛風結節」や内臓の障害が現れます。
痛風は血液中に尿酸がたまり過ぎるのが原因です。遺伝的な体質と食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足といった生活習慣の乱れが要因として挙げられています。
痛風も遺伝的要因によって発症する場合があります。約20%の人が遺伝的な要因を持っているといわれています。
飽食の時代といわれる現代は高タンパク、高脂質の食事が日常となり、肥満や生活習慣病の患者が急増しています。肥満度が高い人ほど、尿酸値も高くなります。
アルコールは分解するときに尿酸がつくりだされ、さらにその際につくられる乳酸が尿酸を体内に蓄積させるため、一時的に尿酸値を上げてしまいます。
また、アルコールにはプリン体が多かれ少なかれ含まれており、さらに体内の尿酸値を上げてしまうのです。
特にビールにはプリン体が多く含まれているため、注意が必要です。
食生活もさることながら、ストレスも無視できない問題です。
強いストレスを受けると尿酸値は上がる傾向にあります。
またストレスを受けやすい人ほど痛風になりやすい、といったデータもあります。
病気や薬の服用によっても尿酸値が上がる傾向にあります。
運動は適度ならば肥満やストレスを解消するのに効果的ですが、激しい運動は尿酸値を上昇させてしまいます。
根本的な治療方法はまだ確立されていませんが、薬物療法や食事療法での治療が一般的です。
食生活や運動など、生活習慣を見直し、改善することが予防や悪化防止に繋がります。
肥満は尿酸値を上げ、痛風を引き起こす大きな要因です。
高エネルギー、高タンパクの食事は避け、適正なエネルギー摂取を心掛けましょう。
治療の際、以前はプリン体を多く含む食品を厳しく制限していましたが、現在は医師の指示で行っていれば適量は食べても構わないとされています。
ただし、1日に摂取するプリン体の量は400mgを超えないようにしましょう。
極めて多い (300mg以上) |
鶏レバー、マイワシ干物、カツオ節、干しシイタケなど |
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多い (200~300mg) |
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物など |
少ない (50~100mg) |
ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚ばら、牛肩ロース、マトン、ボンレスハム、ベーコン、つみれなど |
極めて少ない (~50mg) |
コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、豆腐、牛乳、米、パン、うどん・そば、ヒジキ、ワカメなど |
尿酸が尿に溶けやすくなるには、ワカメやヒジキといった海藻類や野菜、果物のようなアルカリ性の食品を取るとよいと言われています。また、尿の原料となる水分はたっぷりと補給しましょう。
尿酸の原料となるプリン体。プリン体は細胞の中で遺伝子のもとである核酸を構成する成分で、独特のプリン骨格と呼ばれる形を持っているものの総称です。遺伝情報はもちろん、エネルギーをつくりだすのに必要なATP(アデノシン三リン酸)にもこの構造をとっています。
人体はもちろんほとんどの食品に含まれており、特に卵巣や内臓、乾燥によって細胞が凝集されている干物などに多く存在しています。
アルコールは痛風の悪化要因の1つです。飲み過ぎないよう、適量を守りましょう。
特にビールはプリン体が多く含まれているため、注意しましょう。
激しい運動は逆に尿酸値を上昇させてしまいます。ストレッチやウォーキングなど軽い運動を適度に行うと肥満解消やストレス解消に効果的です。
運動で汗をかくので、水分補給は欠かさず行いましょう。
春菊は腎臓で老廃物を排せつすることを促す働きのあるカリウムが豊富に含まれています。ヒジキはアルカリ性の食品の代表格。肥満予防に効果的な食物繊維を多く含み、プリン体の量も少ない優秀な食品です。今回は練りごまを使用しての簡単レシピ。低カロリーな白和えは副菜にもってこいです。
春菊の旬は11~3月です。
春菊はβ-カロチン(ビタミンA)、ビタミンCが豊富に含まれており、プリン体も少ない青菜です。
ほうれん草に比べてえぐみ成分であるシュウ酸が少ないため、生で食べることもでき、結石の心配もありません。
ヒジキと一緒に白和えにしてたっぷり取りましょう。
材料(4人分) | 分量 |
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春菊 | 1束 |
乾燥芽ヒジキ | 10g |
絹ごし豆腐 | 1/3丁 |
(A) 練りごま | 大さじ1 |
(A) しょうゆ | 小さじ1 |
(A) 砂糖 | 小さじ1強 |
(A) 塩 | 少々 |
梅肉ソースを使った簡単レシピです!今回は梅肉や大葉などをソースに使用していますが、ポン酢などに味付けを変更しても楽しめます!ぜひ試してみてください♪
今回は、豚ロースと野菜を使ったレシピです。痛風が気になる方の食生活では、「プリン体を控える」「野菜を十分にとる」ということが大切です。豚ロースは、プリン体の含有量が比較的少ないため尿酸値の高い方にもおすすめです。またエネルギーの代謝を促すビタミンB1が豊富に含まれているため、疲れを感じやすい人やダイエット中の方にもおすすめです。野菜の多くは、尿酸を排せつしやすくしてくれる働きがあるので積極的にとりましょう。ソースは梅の酸味をいかし、酢と合わせるだけのシンプルな味付けで減塩の効果もあります。
材料(2人分) | 分量 |
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豚ロース | 140 g |
白菜 | 1個 |
水菜 | 適量 |
にんじん | 30 g |
しめじ | 20 g |
梅肉 | 20 g |
大葉 | 1~2枚 |
酢 | 40ml |
エネルギー(1人分):約228kcal