日焼け止めの効果と最適な選び方を徹底解説!

日焼け止めの効果と最適な選び方を徹底解説!

なんとなく日焼け止めを選んでいませんか。日焼け止めは、効果やテクスチャーなども実にさまざまです。今回は、紫外線の皮膚への影響や日焼け止めの仕組みについて徹底解説します。さらに、タイプ別のメリット、デメリット、そして、選び方のポイントについても解説いたします。

 

紫外線の種類と皮膚への影響

紫外線は、太陽光に含まれる電磁波の一種です。全ての光には波のような曲線を描くという性質があり、「波の山と山まで」あるいは「谷から谷まで」の距離を「波長」と呼び、この波長が変化することにより色などの性質が異なります。紫外線は、目に見える光(可視光線)の紫の外側という意味で「紫外線」と呼ばれ、波長の違いによって大きく3種類に分けられています。

UV-A波

オゾン層を通り抜けやすく、地上に到達しやすい特徴があります。雲や窓ガラスさえもすり抜けやすいという性質があるため、曇りの日や家の中であっても十分な対策が必要です。また、波長が長いため、皮膚の表皮よりも奥深くの真皮まで届き、長時間浴び続けると肌の弾力を保つコラーゲンを変性させ、将来のシワやたるみの原因となります。特に4~9月頃までの照射量が多く、年間を通して照射量が減りにくいとされています。

UV-B波

ほとんどはオゾン層や上空の雲に吸収されますが、一部は地上に到達します。波長が短く、UV-Aに比べてエネルギーが強いため、肌の浅いところにダメージを与え、肌表面の細胞を傷つけたり、炎症を起こすことがあります。そのほか、皮膚の表皮で過剰なメラニン色素を作るためシミやそばかす、乾燥肌の原因となります。地上に到達する量は少量であるため、日傘などを活用し、直射日光に当たらないように心がけることで、ある程度を防ぐことが可能といわれています。

UV-C波

オゾン層によりほとんど遮られるため地上には届かない光といわれています。UV-Cは、強い殺菌力があり、細菌やウイルスなどの繁殖を防ぐ効果があります。そのため、水や空気の殺菌、消毒用途として、医療機関や食品製造、空気清浄機などに用いられています。

 

紫外線には大切な役割も!

紫外線と聞くと「体によくない!」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、健康にも欠かせない大切な役割も担っています。太陽の光に含まれる紫外線を朝浴びることで、体内時計をリセットしたり、脳内で神経伝達物質のセロトニンの合成や分泌を促します。セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンの材料であるため、朝のうちに十分に分泌されることで、夜にメラトニンがスムーズに分泌されるようになります。
そのほか、ビタミンDの生成を助けてくれる効果があります。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促し、骨や歯の健康維持に効果が期待できます。その他、免疫機能を活性化し風邪やインフルエンザなどの予防にも効果が期待されています。

日焼け止めのSPFとPAとは

SPF

SPFとは、Sun Protection Facrorの略で、UV-B波を防ぐ効果を数値で表したものです。紫外線を浴びてから肌が赤くあるまでの時間をどの程度遅らせることができるかを測定したもので、SPFには1~50までの段階があり、数字が大きいほど効果が高いとされています。1SPFあたり20分が目安とされ、つまり、「SPF50」と記載されている日焼け止めの場合には、1,000分遅らせることができるとされています。さらに、SPF50以上の効果が持続するタイプのものの場合、「SPF50+」と表記されています。

PA

PAとは、Protection Grade of UVAの略で、UVA波を防ぐ効果を数値で表したものです。一時的な黒化を引き起こし、長時間かけて肌の弾力を失わせるUV-A波を防ぐ効果の高さのこと指します。SPFとは異なり、その効果は数値ではなく、「+(プラス記号)」によって4段階で示され、「+」の数が多いほど防御効果が高いことを表しています。

日焼け止めの仕組みと種類

紫外線を防ぐ成分は、主に2種類あります。どのように肌を守っているのか、成分ごとの仕組みについてみていきましょう。

紫外線吸収剤(ケミカル)

紫外線吸収剤は、「ケミカル」とも呼ばれることもあります。紫外線を吸収し、熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出することで、紫外線が皮膚に届かないようにする働きがあります。比較的伸びがよく使用感がよく、白浮きしにくく、汗で崩れにくいなどのメリットがあります。しかし、紫外線のエネルギーを吸収することから、敏感肌の方の中には、稀に刺激を感じることもあります。代表的な成分には、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルなどがあります。

紫外線散乱剤(ノンケミカル)

紫外線散乱剤は、「ノンケミカル」とも呼ばれます。紫外線を反射・散乱させ、UV-AとUV-Bの両方を遮断する効果があります。単純に、肌で紫外線を跳ね返す成分であるため、低刺激で敏感肌の方や乾燥肌などお肌が弱い方におすすめです。代表的な成分には、酸化チタンや酸化亜鉛などがあります。

 


<コラム>酸化亜鉛フリーの日焼け止めとは?

酸化亜鉛とは、亜鉛に熱を加えて酸化させ、コーティングした粒子の細かい白い粉末のことをいいます。酸化亜鉛は、紫外線散乱剤として使われており、皮脂吸着効果があるため、日焼け止めやファンデーションなどに広く使用されています。また、酸化亜鉛は、低刺激性ではありますが、敏感肌や乾燥肌の方にとっては肌の乾燥を感じやすくなったり、金属アレルギーをお持ちの方は反応してしまい肌トラブルを起こすことがあります。現在では、酸化亜鉛フリーの製品が注目されています。


日焼け止めのタイプ別・メリットとデメリット

クリームタイプ

しっとりとした質感で保湿力が高いのが特徴です。化粧下地としても使える商品が多く、日常生活の日焼け対策としても使いやすいタイプです。また、ウォータープルーフのものもあり、汗などによってムラが起きにくく高い遮光効果が維持できるため、水辺でのレジャーなど幅広く活用できます。

ジェル・ミルクタイプ

みずみずしさがあり、サラッとしたとした軽い質感で、肌になじみやすくべたつきが少ないため、夏場や脂性肌の方にも人気です。透明感のあるものが多く、白浮きしにくいものの、汗や水に弱いためこまめな塗り直しが必要です。

パウダータイプ

液体タイプの日焼け止めと異なり、素肌の上はもちろんのこと、メイクの上からも使用できるのが特徴です。サラサラとした仕上がりを保ち、化粧崩れを抑えながら、肌への負担が少なく、敏感肌の方でも使いやすい傾向があります。さらに、肌悩みに合わせて保湿力があるものやトーンアップしてくれるものなどがあります。

スプレータイプ

手で塗ることなく、顔や体に吹きかけるだけで広範囲に塗布しやすく、塗りづらい首の後ろや背中などの部分も簡単に塗ることができます。さっぱりとした質感で、メイクの上や日常生活はもちろん、スポーツや屋外でのレジャー時にも手軽に紫外線対策ができます。製品によっては、髪や頭皮にも使えるものもあります。デメリットとしては、ムラができやすく、他のタイプに比べ、肌への密着度が低いため、こまめに塗り直しが必要です。

日焼け止めを選ぶポイント

SPF値やPA値を参考に、使用するシーンに合わせて選びましょう。

あまり外出をしない日など

あまり外出しない日や、在宅ワークの場合には、窓ガラスを通り抜けるUV-Aの予防のために、SPF30+程度の日焼け止めがおすすめです。さらに、汗や水などに強いウォータープルーフ対応のものを選ぶと、塗り直しの回数を減らすことができます。

長時間屋外で過ごす場合など

時間紫外線にさらされるレジャーやスポーツなど屋外で過ごす場合には、SPF50+、PA++++のしっかりとUVカット効果を持った日焼け止めがおすすめです。

日焼け止めの正しい使い方

SPF値やPA値にこだわったり、肌タイプに合わせた日焼け止めを選び、1度塗ったら大丈夫ということではありません。汗や衣類などとの摩擦によって取れてしまうため、こまめな塗り直しが大切です。最後に、日焼け止めの効果を最大限得るためのポイントについて解説します。

保湿ケアをしましょう

日焼け止めを塗る前に、しっかりと保湿ケアを行いましょう。乾燥したまま日焼け止めを塗ると、皮脂が過剰に分泌され、日焼け止めが落ちやすくなってしまいます。日焼け止めを塗る前には、化粧水や乳液などで保湿をして、5分ほど空けてから塗るのが理想的です。

正しい塗り方をしましょう

保湿ケアを行った後に、化粧下地の前に日焼け止めを塗りましょう。パッケージに記載された使用量を確認し、適量を手のひらに取り、顔の場合には、額、両頬、鼻、あごの5点程度に置き、中指と薬指を使いなじませます。
目の周りや口の周り、小鼻の周りは塗りムラができやすいので、丁寧に行いましょう。また、首やあご下、デコルテ、髪の生え際や耳の後ろも忘れずに行いましょう。
一方、体は、直接肌へ線状に出し、こすらないように手のひらで大きく円を描くように均一になじませます。手や足の甲など日焼けしやすい部分なので、塗り忘れに注意しましょう。

こまめに塗り直しましょう

汗や皮脂などを清潔なタオルやティッシュなどで、優しく取り除き、約2~3時間おきに上から軽く重ねて塗り直すことで効果をしっかりと持続させることができます。ファンデーションなど化粧をしている場合は、UV効果のあるパウダーなどを活用し、こまめに塗り直しましょう。

日焼け止めはなるべく新しいものを使いましょう

前の年に使い残した日焼け止めがあるからといって、古い日焼け止めを使うのは控えましょう。日焼け止めは、一度空気に触れると容器の中であっても劣化しやすく、本来のUV効果を得ることができないだけでなく、肌トラブルにつながる可能性もあります。

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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