自律神経とは自分の意思とは関係なく動いている神経で、心臓の動き、血圧、食べ物の消化、体温の調節、ホルモン分泌などを担っています。この自律神経はストレスにより乱れが生じ、その結果、血液の流れが悪くなり老いの指標ともなる血管年齢を引き上げることにつながるのです。
今回は私たちが生命を維持するうえで欠かせない働きをしている自律神経、私たちの健康を支える要である血液、その通り道である血管の年齢について紹介していきます。
無意識のうちに働いているという自律神経ですが、この自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つは相反する働きをしていています。どちらかが優位になればどちらかは抑制されるのです。
交感神経は体を活動モードにする神経でアクセルのような働きをします。一方、副交感神経は体を休息モードにするブレーキのような働きをする神経です。
活動的になる日中は交感神経が優位であり、夜にかけて副交感神経が優位になるのが健康的な状態です。交感神経が働くと体は活発になりますが、胃腸の消化管の働きだけは抑制されます。胃腸の消化管の働きは副交感神経が優位のとき活発になるのです。
そのため食事をすると副交感神経が優位になることで心が落ち着き、食後には眠くなり、そして消化吸収は活発に行われます。食後すぐに運動すると交感神経が働いてしまい、この消化吸収がうまく行われなくなります。
このような交感神経と副交感神経のバランスがとれていると体は安定し、ストレスや生活習慣などによってバランスが乱れると体に支障をきたします。
ストレス社会といわれる現代において、心理的ストレスはつきものであり、また暑さ、寒さなどの物理的ストレス、過労や病気など生理的ストレスなど人がストレスを感じる原因はさまざまあります。適度なストレスは私たちを成長させ心と体を刺激してくれますが、うまく処理しきれずため込んでしまうと心や体の不調を引き起こすのです。
ストレスを感じた状態だと交感神経が優位になり血圧や心拍数を上げてストレスから身を守ろうとします。すると副交感神経とのバランスが崩れてしまいます。
このようにして自律神経のバランスが悪くなると、血流が悪くなり全身に十分な栄養素や酸素を運ぶことができなくなります。その結果病気を発症しやすくなったり治癒力も低下し、心身症やうつ病だけではなく高血圧症や糖尿病、脂質異常症などを引き起こすことにもつながるのです。
自律神経が乱れると、さらにホルモンの分泌や免疫機能にも悪影響がでます。ストレスや悪い生活習慣は私たちが生きていくうえで必要最低限の機能を低下させてしまうのです。
ストレスをため込みすぎないように自分をコントロールし、夜は副交感神経を優位にするためのリラックス方法をみつけるなど自分に合ったものを実践しましょう。
「人は血管とともに老いる」といわれており、加齢に伴い血管年齢も上がります。しかし食生活の欧米化など生活習慣の変化やストレスなどにより近年では血管年齢が実年齢を上回る人が増えています。老化した血管は弾力性を失い硬くなるため血流が悪くなり肩こりや腰痛、冷えなどにつながります。
さらに動脈硬化が進行すると、最悪の場合は脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気の引き金となります。
ストレスも大きく関わる血管年齢ですが、職場にいるだけで血圧は上がるといわれているため、楽しく仕事をしていたとしても休憩せずに続けていれば高血圧のリスクは高まります。
仕事中でもストレッチをしたり深呼吸を挟むようにしてみましょう。
塩辛いものを食べて喉が渇くのは、もともと決まっている人間の塩分濃度に戻すためであり、大量の水を摂取すると血液量が増え圧力が増すことになります。
また塩分を摂取すると交感神経を優位にさせる効果があり血管は収縮します。血管が収縮すると血圧は上がることになるのです。
ストレスの種類が多く、飽食時代である現代では特に自律神経を整えいつまでも若々しい血管でいることが大切です。ストレスとうまく付き合い、バランスの良い食生活、特にストレスと戦う際に消費されるビタミンCの摂取を心掛けるなど意識した行動が現代社会を健康に生き抜くために必要とされています。