食中毒対策を! part1

食中毒対策を! part1

だんだん暑い日が続くようになりました。外も、家の中も蒸し暑いですよね。そこで、気になってくるのが食中毒。普段、どんなことに気を付けると良いのでしょうか。

食中毒

食中毒の原因

食中毒の原因となるのは、大腸菌などの細菌によるもの、ウイルスによるもの、フグの毒やキノコの毒などによる自然毒によるもの、洗剤や添加などの化学物質によって起こるものなどにわかれます。
事件数としては、カンピロバクターが最も多く、続いてサルモネラ菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌の順になっています。

これから梅雨~夏にかけて多くなるは細菌性食中毒です。
食中毒を引き起こす原因となる細菌は、感染型と毒素型にわけられます。
感染型食中毒とは、細菌に感染した食品を食べることで、体内でその細菌がさらに増殖し、病原性を持つことで起こる食中毒です。

また、毒素型食中毒は、細菌が食品の中で毒素を産生し、その食品を食べることで起こる食中毒です。

今回は、感染型食中毒についてお話しします。

感染型食中毒

感染型食中毒の代表的な菌には、カンピロバクター、サルモネラ菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌、ウェルシュ菌などがあります。

ウィルス

カンピロバクター

生肉、特に鶏肉、また生乳などが原因食品となり2~7日と長い潜伏期間です。細菌性食中毒の原因菌としては事件数が最も多くなっています。
腹痛を伴う下痢、発熱が症状としてみられます。

また、まれですが感染から1~3週間後にギラン・バレー症候群という両手足に力が入らなくなり急速に麻痺が広がる病気が発症するケースも確認されています。
このギラン・バレー症候群は回復するまでに3か月から1年ほどかかります。

サルモネラ菌

家畜の糞や、下水などに存在しています。鶏卵や食肉で増殖しますが、特に鶏肉で良く増殖します。
感染すると、5~48時間で腹痛や嘔吐などの症状が現れます。肉類は加熱調理し、生食は避け、卵は必ず冷蔵庫に保管するようにしましょう。

ウエルシュ菌

嫌気性菌と呼ばれ、酸素が少ない状態でよく発育するのが特徴です。大量に調理され、作り置きできるカレー、シチュー、煮物などが原因食品となります。

潜伏期間は6~18時間で、下痢と腹痛を起こします。また、この菌は生育条件が悪い場合には“芽胞”と呼ばれる硬い殻のようなものに閉じこもります。

芽胞は、熱に強く、冷凍やアルコール消毒をしても、完全に死滅しません。そのため、調理後は早めに食べてしまいましょう。

病原性大腸菌

病原性大腸菌はいくつか種類がありますが、代表的なものに腸管出血性大腸菌(O157)があります。
原因となる食品は様々ですが、特に生肉、生レバーには要注意で、他には井戸水、生乳なども原因となります。

O157は、3~5日間と、長い潜伏期間を持ちます。この潜伏期間の長さが特徴の1つです。
症状は下痢(水溶性→血便)、激しい腹痛、寒気、溶血性尿毒症症候群(HUS)で死亡することもありますが、成人では無症状の場合もあります。

菌自体は、熱に弱く、75℃1分間の加熱で死んでしまいますが、O157が産生する毒素(ベロ毒素)は80℃10分間の加熱でなければ失活しません。
食品を食べる際は、十分に加熱をし、なるべく早く食べてしまうようにしましょう。

腸炎ビブリオ菌

塩分を好み、主に生魚介類が原因食品となり新鮮でも発症します。潜伏期間は6~24時間です。症状は突然の激しい上腹部痛、水様便、嘔吐などがみられます。

他の菌に比べて発育が早いので、漁獲から消費まで、低温管理を徹底することが大切です。また、真水に弱いので、調理する際は、真水で洗浄しましょう。

食中毒を予防する3原則

  1. 清潔
  2. 迅速
  3. 加熱または冷却

清潔

細菌は、肉眼では見えません。きれいになったと思っても、実は菌が潜んでいた…ということもよくあることです。
手洗いはもちろん、食器やまな板、包丁などの調理器具はしっかりと洗剤をつけて洗いましょう。使い終わったあとに、市販のアルコール消毒スプレーで消毒するのも有効です。

迅速

細菌は時間とともに増えていきます。菌を増やさないために、買ってきた食品は常温で放置せず、すぐに冷蔵庫に入れるようにしましょう。

加熱または冷却

加熱できる食品は、十分に加熱して殺菌しましょう。また、冷蔵や冷凍することで、細菌の増殖スピードを抑えることができます。
低温保存をして、なるべく早くに調理して食べるように心がけましょう。

手洗い

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
この記事を
シェア
Twitter
Facebook
LINE
hatenaブックマーク
URLをコピー

URLをコピーしました

食や健康について学ぶ

関連記事

おすすめ記事