眠りを助けるトリプトファン

眠りを助けるトリプトファン

トリプトファンとは牛乳から発見された必須アミノ酸の1つで、人体で合成することができません。よって、食べ物から摂取することが必要になります。タンパク質を作る材料として使われる分を除いては、肝臓や腎臓で分解されて、エネルギー源として利用されます。

トリプトファンは様々な食品のタンパク質に含まれていますが、含有量はあまり多くはありません。

トリプトファンを多く含む食品

チェダーチーズ、牛乳、卵黄、高野豆腐、アーモンド、バナナ、きな粉などがあります。

トリプトファンを多く含む食品

ナイアシンを作る

トリプトファンを材料に体内でナイアシンが合成されます。ナイアシンの合成にはビタミンB2とビタミンB6も必要なので、それらの摂取も心掛ける必要があります。健康効果はたくさんあり、心血管疾患を予防したり、睡眠障害など血流を改善し、アンチエイジング効果もあります。また、アルコールの代謝にも関わり、二日酔いなどを防ぐなどの解毒効果も期待できます。

セロトニン・メラトニンを作る

トリプトファンは、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の生成に、チロシンと一緒に関与しています。ドーパミンとノルアドレナリンは気分を高揚させ、活力を生み出し、やる気を出させるホルモンです。
これまでの研究では、脳や行動障害の治療に効果があることが分かっており、不眠症やうつ病の治療にも期待できます。赤ちゃんのミルクにトリプトファンを加えることで、赤ちゃんの寝つきがよくなった、また、トリプトファンを学習能力に問題のある子どもに投与すると、子どもが落ち着いて勉強するようになったという報告もあります。
チロシンもトリプトファンもアミノ酸の一種ですが、チロシンとトリプトファンは競争する関係にあり、量の多いほうが脳に取り込まれるという性質があります。チロシンは脳を刺激して活発にする物質で、トリプトファンは脳を休息させリラックスさせる神経伝達物質です。タンパク質を含む食品を食べた時に、トリプトファンよりもチロシンのほうが多い場合、チロシンが脳に取り込まれるので、脳が活発になります。

セロトニン・メラトニンを作る

トリプトファンはナイアシンの他にも、セロトニンやメラトニンといった精神を鎮めたり、睡眠を促す神経伝達物質の合成にも関わっています。トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムともに「セロトニン」という脳内物質を作る原料となります。

セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、興奮や不快感を鎮めて精神を安定させたり、寝つきを良くする効果があり、不足すると睡眠障害になったり、不安感や憂うつ感があらわれます。また、感情や情動に関係しているだけでなく、消化、生殖、体温、呼吸など多くの体の機能とも密接に関係しています。セロトニンそのものはトリプトファンを材料として脳内で合成するもので、食べ物や飲み物で補うことができません。

さらに、セロトニンには「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌を促す働きもあります。メラトニンは睡眠のサイクルを正常にしたり、免疫力を高めたり、活性酸素を減少させるなどの作用があります。メラトニンの分泌量は年齢を重ねるほど減少するといわれており、お年寄りが長時間の睡眠をとることが難しく、深い眠りにつくことができないのは、メラトニンの減少が原因だともいわれています。

脳のトリプトファン濃度が高まればセロトニンが増えて、催眠効果が期待できるため、アメリカではトリプトファンは天然の催眠剤として、催眠効果や精神安定効果を期待する人々に人気があります。

トリプトファンとチロシン

トリプトファンは、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の生成に、チロシンと一緒に関与しています。ドーパミンとノルアドレナリンは気分を高揚させ、活力を生み出し、やる気を出させるホルモンです。

これまでの研究では、脳や行動障害の治療に効果があることが分かっており、不眠症やうつ病の治療にも期待できます。赤ちゃんのミルクにトリプトファンを加えることで、赤ちゃんの寝つきがよくなった、また、トリプトファンを学習能力に問題のある子どもに投与すると、子どもが落ち着いて勉強するようになったという報告もあります。

チロシンもトリプトファンもアミノ酸の一種ですが、チロシンとトリプトファンは競争する関係にあり、量の多いほうが脳に取り込まれるという性質があります。チロシンは脳を刺激して活発にする物質で、トリプトファンは脳を休息させリラックスさせる神経伝達物質です。タンパク質を含む食品を食べた時に、トリプトファンよりもチロシンのほうが多い場合、チロシンが脳に取り込まれるので、脳が活発になります。

トリプトファンとチロシン

トリプトファンは、その他にも免疫系に働きかけて、がんを予防する、コレステロールや血圧を調整する、性機能の回復、更年期障害の症状を緩和するなど幅広く効果があります。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病、エイズなどの症状改善にも期待されています。

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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