あったか鍋料理 ~世界の鍋編~

あったか鍋料理 ~世界の鍋編~

鍋料理というと日本の冬というイメージがありますが、実は世界各国に多彩な鍋料理があります。最近では、さまざまな国の料理を楽しめるお店がたくさんでき、世界の鍋を楽しむ機会も増えてきました。それぞれの国の特色ある素材や調味料を用いた鍋を食べることで、その国へ行ったような気分を味わえます。

中国

① 火鍋(フォクオ)

近年日本でも大ブームとなっている「火鍋」は、日本でいう「しゃぶしゃぶ」のような鍋です。火鍋で用いられる食材は煮込みながら食べる食材がよく用いられ本場である中国重慶では特に臓物に楽しみがあるとされています。

特徴として「鴛鴦(ユエンヤン)」という半分に仕切られた鍋を使い2種類の味の鍋を楽しめるようになっています。片方には「辣湯(ラータン)」と呼ばれる唐辛子ベースのスープや、「麻辣湯(マーラータン)」という何十種類もの漢方と香辛料が入った辛い滋養スープが、もう一方には辛味のない白湯(とんこつベースのスープ)や清湯(鶏ガラベースのスープ)が入っています。

漢方や香辛料の効果で代謝改善、胃の消化促進、また鎮痛作用によって関節炎などにも効果が期待できます。同時に様々な食材も摂ることができるので医食同源の代表食として食べられてきました。体にも美容にも良いとされており現代の健康志向な社会にも適していると言えます。しかし本場で食べるなら中毒性のあるお腹を壊しやすい香辛料など使用している所もあるためリサーチして行くのがおすすめです。

中国 火鍋

② 刷羊肉(サオヤンロウ)

「カオヤーツ(北京ダックをあぶったもの)」と並ぶ代表的な北京料理の1つです。モンゴル地方の羊肉を薄切りにし、火鍋に沸いた熱湯をくぐらせて食べるもので、日本のしゃぶしゃぶのルーツともいわれています。ごま油、しょうゆ、芝麻醤(チーマージャン)(ごま味噌)、乳腐(ルーフー)(豆腐を発酵させたもの)など、10種類以上もの調味品を使った独自のたれで楽しみます。

韓国

① チゲ

日本でもすっかりおなじみになった「チゲ鍋」ですが、韓国語でチゲとは鍋の意味です。よって日本でいうチゲ鍋は「鍋鍋」になってしまいます。またチゲは一人鍋が基本ですが、プデチゲという大鍋で何人かで食べるチゲもあります。
辛くて、熱くて、こってりとした極寒の国韓国らしい鍋物です。
チゲの種類はスンドゥブチゲ、魚介チゲなどさまざまですが、味付けのベースは「コチュジャン(唐辛子みそ)」「チョッカル(アミという小さなエビの塩辛)」「味噌」の3種類が多いようです。

韓国 チゲ

② チョンゴル

チョンゴルとは「寄せ鍋」という意味です。牛肉や野菜を甘辛いたれで煮るもので、日本でいう「すき焼き」のような鍋です。チゲが家庭料理であるのに対して、チョンゴルは宮廷料理として祝宴会、酒宴会などの時に出されていた料理です。
チョンゴルに使う鍋は平たい鍋で、これもやはり日本のすき焼き鍋にそっくりです。
チゲよりもボリューム感があり豪華で何人かでつついて食べます。

フランス ポトフ

ポトフは肉類や野菜類をじっくり煮込んで作る、フランスの代表的な家庭料理です。フランス語で「ポ」は鍋、「フ」は火という意味で、ポトフとは、「火にかけた鍋」という意味になります。日本ではスープの中に具が入ったものが一般的ですが本場ではスープと具が別盛りになっています。
ポトフでは大きく切った野菜や丸ごとの野菜を煮込むので、素材のだしが非常によく出ていてスープもおいしく、たっぷりと野菜をとることができます。味付けはコンソメや塩胡椒、ニンニクなどで整える程度なので忙しい時でも手間をかけずにできる健康的な料理といえます。

フランス ポトフ

イタリア バーニャカウダ

バーニャカウダを翻訳すると「温かいソース」という意味になります。北イタリアの郷土料理で、「フォイョ」と呼ばれる陶器の小鍋にオリーブオイル・アンチョビ・にんにくの香り豊かな温かいソースを入れスティック状にするなど食べやすくした新鮮な野菜をつけて食べる料理です。
イタリアでは、秋にその年の収穫を祝うイベントとしてバーニャカウダ祭が行われるそうです。おしゃれに野菜を食べることができるメニューとして日本でも人気を集めています。

イタリア バーニャカウダ

スイス フォンデュ

スイスの観光名物にもなっている、フォンデュ。フランス語で「溶ける・溶かす」という意味があり、寒い冬に体を暖めるために生まれた料理です。
「アルプスの少女ハイジ」にも登場したチーズフォンデュは、チーズを白ワインなどで煮込み、フォークに刺したパンや温野菜にからめて食べるものです。また鍋にチョコレートを入れ、マシュマロや果物、パンなどの食材にチョコレートをからめて食べるチョコレートフォンデュもあります。他にもオイルフォンデュ、スープフォンデュなどがあります。

スイス フォンデュ

ロシア ボルシチ

ボルシチとは、ロシアやウクライナ、東欧諸国の伝統的な料理で、鮮やかな深紅色をした煮込みスープです。テーブルビート(ビーツ)という植物と玉ねぎ、にんじん、キャベツ、トマト、牛肉などの材料を炒めてから、赤ワイン、ニンニクなどを加えじっくり煮込んで作ります。ちなみにビーツは味があまりしません。
ボルシチの素材は地域によって異なり、特にウクライナでは地方ごとに40種類以上のバリエーションがありますが、いずれもサワークリームを混ぜて食べる点は共通しています。深紅色とサワークリームの白が見た目にも美しい料理です。野菜から出たエキスが牛肉にしみ込んで、コクのある風味が味わえます。

ロシア ボルシチ

著者アイコン著者紹介

特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
全国各地で様々な対象者の方向けの講演会を行ったり、執筆活動を行うなど精力的に活躍する当協会の健康管理士、管理栄養士が担当しております。
それぞれ得意の分野を活かし、今知りたい「食や健康」をお届け!
毎月の食Doのテーマや、食Do執筆の裏側を公開する「裏食Do!」(アメブロ)Instagramなどもぜひお楽しみに!!
監修:日本成人病予防協会 会長 医学博士 片野 善夫          

       
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